2013年01月05日

家庭用デシカは4月からセントラルシステム用として使える!! (上)


ご案内の通り昨年の10月に、ダイキン工業は家庭用デシカを発売いたしました。
内容の詳細について発売前には一切教えてもらえず、関係者に聞いていた範囲内では、私どもの希望を最大限取り入れた素晴らしい新商品になっているはずだと、首を長くして待っていました。
しかし、見せられたカタログを見てびっくり!!
下の図は青い線が細く、また図面が小さいためよく見えないと思います。関心のある向きは、同社の 「DESICA HOME AIR」 のカタログを取り寄せるかネットで調べて下さい。 
このカタログを見た瞬間、この家庭用デシカはセントラル空調換気システム用としては使い物にはならない。 実務経験のない者が描いた単なる絵空事にすぎず、あまりにも欠点が目立ち過ぎる…と痛感。 
そして、私のデシカに対する期待は淡雪のように消えました。 
「家庭用デシカに対する恋の季節は終わった」と。


デシカダクト施工例.jpg


ダイキンは、「エアカルテット・プラス」 という住宅用で、除加湿機能を持った優れたセントラル空調換気システムを他社に先駆けて開発し、実績を積んできました。
しかし、このシステムを大手住宅メーカーで採用したのはスウェーデンハウスの一部だけ。 あとは、ハーティホームが全面的に採用していましたが、ご案内のように同社は地場ビルダーに過ぎず、年間キャパシティは50棟前後。 このため、エアカルテット・プラスはカタログ集には掲載されていたけども、ダイキン関係者の中でこのシステムを実際に設計施工をした経験者は、唯一ダイキンエアテクノ東京だけ。
頼まれて中部、四国、九州のエアテクノ関係者と施工店の研修会で、エアカルテット・プラスの意義とメリットを説明したことがあります。だが、質疑応答はチンプンカンプンで、文字通りの糠にクギ。 
つまり、ダイキンとしては、本社、工場、エアテクノ、HVACソリューション、工事店を含めて、《住宅用》のセントラル空調換気システムについて熟知している者が、皆無といっても過言ではないのです。

それでは、上の図のどこに問題があるかを具体的に指摘してゆきます。

まず、第1点はOAとEAの取付け位置。
プランAの1階平面図を見ると、デシカはトイレ前の専用機械室に置かれています。 そして、給気のOAは西面・台所勝手口の脇、EAは北面・流し台の横から排気されています。大変に理想的。(ダクトどこに配するのかの経路は不明ですが…) 
けれどもカタログに同封されていたM邸の平面図では 北側の壁にOAとEAが取り付けられており、しかも離れている距離は40〜50センチ。 これでは排気された汚染空気の40%近くが新鮮空気に混って室内に導入される…。

今から数年前の冷凍空調学会のミーテングの席上、あるクリニックの女医から、「セントラル空調換気システムにしたら、途端に院内感染が増加して困っている。どうしたらよいでしょうか」 との切実な質問がありました。
カナダでは、「OAとEAは原則として別の外壁に取り付けなさい。どうしても同一の壁にしか取付けることが出来ない時は、間隔を2メートル(現在は1.8メートルらしい)以上空けなさい、 と指導していました。
日加住宅会議に出席していた先生方はこのことを良くご存じ。 だから、当然「2メートル以上あけなさい」 とのサジェスチョンがあるものと思っていました。ところが、どなたも貝のように口を閉じたまま。 これは、「規定を決めた先生が現役のうちは、規定は変更しない」 という日本の官僚機構独特の《前例主義》という悪癖そのもの。 大御所の顔を立てて口を閉ざされていたのではないかと憶測しました。 
これが、ノロウィルスなどの院内感染の主要原因の一つでではないかと素人は想像をたくましくせざるを得ません。 冷凍空調学会と産業界は、原子力学会同様に猛反省をして、徹底的に究明していただきたいとお願いします。
そういった意味で、ダイキンがM邸の施工例を同封した意図に、大きな疑問が残ります。これでは正しい意識が徹底しているとは考えられません。

第2点は、各室への風量と温湿度のコントロール。
換気だけならYダクトを使うのは許されるかも知れません。だが、セントラル空調換気システムの場合に、果たして図のような細くて分岐の多いダクトシステムで各室の給気量、温湿度を完全にコントロール出来るでしょうか ?
10年前に、私が数社のシステムで試したところ、この分岐方式ではダメだという結論に。 そこで、オリエンタル冷熱が開発してくれた分配器で各室へ専用ダクトで送風するシステムに全面的に切り変えました。 これだと1m3単位の管理が可能に。 
一条工務店もロスガード90で独自の分配器を開発し、風量を完全にコントロールしている。 私はその方に軍配を上げたい…。
ただし、この数年間に画期的な開発がなされ、吹出し口でのコントロールの精度が格段に向上してきているのであれば、あえて問題にする必要はないのかもしれません。

第3点は、空調機の数と位置。
プランAでは、1階と2階に空調機が設置されています。 
Q値が2.0W以下で、C値が2.0cu/u以下というプレハブなどの低性能住宅であれば、空調機が2台必要でしょう。
しかし今、全国の地場ビルダーが脅かされているのが、Q値は実質0.9W以上で、C値が0.6cuという i-smart の存在。
国交省は、省エネ基準を見直すとかLCCM住宅を普及させるなど机上論を弄んでいます。しかし現実は、W地域であっても地場ビルダーやメーカーに消費者が求めているのは i-smart と同等の断熱・気密性能を持ち、しかもゼロ・エネルギーを達成出来る住宅。 一気にハードルが高くなってきています。
ネットで正しい情報を得ている今時の消費者は、国交省の省エネ基準改定は大手プレハブメーカーを守るためのもので、何一つ消費者のためにならないことを知っています。 
それなのに、ダイキンがプレハブメーカーを対象にした低性能住宅を前提にした図面しか提示していないとなると、不信感を抱きかねません。 除加湿をきちんと機能するには、最低でC値は1.0cu。Q値は1.4Wであるべき。 
そして、一条工務店の i-smart に対抗するには、W地域であっても i-smart と同等の性能が求められます。 もう議論の時ではありません。
その性能を持ったゼロ・エネルギー住宅だと、3kWの空調機が1台あれば十分。
そして空調機は、デシカ換気のすぐ脇に置くのが常識。

第4点は、室内への新鮮空気の吹出し。
1階は廊下側の壁から室内へ向かって水平に新鮮空気を吹き出しています。 この方が、ダクトの長さが短くて済んで経済的。 しかも弱い空気が頭の上を通過するので風を感じることがなく、すこぶる快適。 この方式を採用して以来、消費者からの風に関するクレームは皆無に。
ところが、2階は一変して窓際までダクトを延長し、真下へ向かって吹き降ろしています。
これは、2つの愚を犯しています。
1つは、ダクトが長くなってコストが嵩むこと。 もう1つは夏の冷気を頭から滝のように浴びるので、不快きわまりないこと。 ダイキンにはビル工事に精通した技術者が腐るほどいます。 英語と中国語がペラペラな若き技術者も掃いて捨てるほどいます。 しかし高性能住宅の実務体験者が不在。 性能の低いビル工事の設計しか経験のない者が書いた、最低プランのサンプル。 
私の言うことがウソだと思うなら、そんなプランの吹出し口の真下に立ってみてください。 おそらく10分と我慢が出来ないはず。 肉体に変調が来たし、それこそストレスの塊に。
また、このプランは住宅の現場を知らない者が書いたもの。 屋根断熱の特殊な住宅だったら、このダクトの配置は可能。 しかし、ほとんどが天井断熱。 その場合、このダクト図だと気密層とダクト面に必ず大問題が起きます。 そんなことも分からない人に、カタログを製作させることも本当はダメ。

第5点は、浴室・トイレからの部分間欠運転。
カナダ及びスウェーデンなどの換気先進国では、第1種、第3種を問わず排気は浴室・トイレ・台所・シューズルーム・ペットルームなどのダーディゾーンからの24時間連続排気が原則。 このため臭いを移行させる潜熱交換ではなく、顕熱交換機の採用が原則。
ところが、日本で夏期に多い潜熱を交換しないのは非効率的だという観念論が台頭し、全熱交の必要性が叫ばれました。 一条工務店がダイキンに仕様書発注を行ったのを機に、日本では全熱交ブームが起こりました。
私も、一条工務店の許可とエアテクノ東京の協力を得て全熱交を採用してみました。 その結果は散々たるもの。 日本の夏に必要なのは除湿であって、潜熱の交換は全く意味がないことを、骨身に滲みるほど「これでもか」と知らされました。
全熱交を採用すると、浴室・トイレ・台所などのダーディゾーンからの排気は回収されずにそのまま間欠排気へ。 そのため、ダーディゾーンからの24時間排気という大原則が損なわれました。 その結果、4つの大問題が発生。
1つは、トイレ・浴室・台所などが間欠運転になり、給排気のバランスが大きく崩れた。そして、室内は常に負圧状態になり、間欠排気の折に玄関ドアの開閉が困難に。
2つは、浴室・トイレ・台所などの熱回収がなされず、実質的な熱回収率は90%ではなく80%強程度と推測され、省エネ性能が低下。
3つは、浴室・トイレ・台所の水回りから24時間排気がなされないので、カビが生え、ダニ問題も。また、塩素系のカビとり剤の使用で人体の健康に悪影響を与え、機器の寿命を縮めている。
4つは、浴室・トイレから24時間排気がなされないため、この部分の温度が低くなり、ヒートショックの危険性が常に潜んでいる。

全熱交を採用しても夏はあまりにもの湿度過多で熱交の意味がなく、冬期は浴室の空気を捨てているので加湿面で大損失。 つまりは、全熱交を採用して得られるメリットは少ないのに、失うものが多すぎて、どう考えても採算が合わない。 24時間排気をしない全熱交ほど非効率的な機器はないと断言出来ます。
ただし、一条工務店の場合は浴室・トイレともに床暖房をやっているので、ヒートショックの怖れがなく、浴室の床が乾くのでカビの発生も少ない。 
しかし、それ以外のローヤル電機をはじめとした各社の間欠運転による全熱交は、上記の4問題は未解決のまま。
そして、カタログで見る限り、家庭用デシカも同様の問題を抱えていると言えます。


こうしたプラン上の大問題のほかに、疑問点と解決してほしい2点を加えて家庭用デシカの開発担当者にメールをしました。 そしたら、旧臘19日にダイキン東京支社に呼ばれ、開発担当者他から丁寧な説明を受けました。
その結果、4月から出荷される家庭用デシカだと、いくつかのポイントを厳守すれば、対 i-smart 対策用の住宅づくりの武器として、家庭用デシカが活用出来るとの希望が出てきました。

その詳細は、次回以降に続きます。





posted by uno2013 at 09:14| Comment(0) | 除加湿・空調・換気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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