2014年12月27日

2014年下半期  読んで面白かった本のベスト10 (下)



このブログは、本来30日に掲載する分。
しかし、今日は土曜日で、今日から年末休暇に入るところも多いと聞く。 その人達に、「書店へゆくのは30日以降にしてください」 とは言えない。
3日早いが、30日分を速めて今日掲載することにした。

先週でベスト10を締め切った。
今年下期に撰んだ1位と2位のブログは、いずれもこの欄で紹介済み。
また、3位と4位と6位は独善的週評で紹介済み。 そして、10位もブログで紹介済み。
したがって、新規に紹介するのは5、7、8、9位の4つだけ。 
なにしろ、トップ10候補が59点もある。 そのどれもが、トップ10に入ってもおかしくない実力が備わった力作ばかり。 したがって、ブログや週評で取上げなかったものを優先的に紹介したいと考えるのだが、そうなればトップ10を選ぶ意味がなくなってしまう。
私がトップ10を選びを始めたのは、勤めていた時 正月休みに何を読んで良いかいつも迷っていたから‥‥。 書店へ行っても、なかなかこれはという本が見つからない。 このため、実に多くの著作を見逃してきた。
そして今は、かつてのように朝から晩まで仕事に追われることはない。 少しでも、皆さんの本選びに役立てればと考えて ベスト10を恒例化した。
したがって、この欄でクダクダと述べなくても、詳細を知りたい方は日付を遡って参照していただければ、おおよその内容が理解していただけるはず。 気楽にゆきましょう‥‥。 

◆10位

人材危機表紙.JPG

これは、10月5日付のこの欄で紹介済み。
大変にセンセーショナルな題名。 建設業から人材が離れているのは事実。
2007年度までは、新設建設の延べ面積は18,000万uはあった。 それがあのオイルショックで、11,000万uと40%も減少してしまった。
当然、大手ゼネコンを中心に、なりふりを構わないリストラの嵐が吹き荒れた。
そして、2013年度には15,000万u近くまで回復したが、ご存じのとおり2013年度は消費税値上げのための駆け込み需要に支えられたもの。 したがって、これからは全建設の新設需要は13,000万u以下となろう。そのことを、直感しいるのが建設や住宅関連の労務者。 
たしかに、2019年度までは東京オリンピック関連の仕事は増えるだろう。 しかし、オリンピックが過ぎたらペンペン草も生えないような事態が予想される。
国交省は、ドイツなどと異なり公団・公営住宅の断熱補修事業に不熱心。 こんな不熱心な役人が威張っている業界からは逃げだすに限る。 それが、建設関連労働者の本音。
この著は、その肝心な点を見逃している。

◆9位

林業男子.JPG

そもそもこの著作は、矢口史靖監督・脚本の映画 「WOOD JOB!」 からスタートしている。
この映画の元になったのは三浦しをんの小説、「神去 なあなあ 日常」。
筆者は森林に関してはド素人。 それが、東京チェンソーズの青木氏の著作づくりに協力したのか発端となって、次第に林業界に関心を持ち始めてきた。 
決定的な影響を与えたのは、上記の映画と小説。
そして、林業で活躍している男子だけでなく、女子を含めて12人から多面的な取材を行って、この著作をまとめている。 
「林業男子」というタイトルでありながら、「林業女子」の草分けである高齢者の栗原慶子氏をはじめとして、3人の個性的な林業女性を紹介している。
このほかに、林業に関しては川上の山造りから川下の木工場経営までをコンサルタントをしている人や、工学部卒業生の棟梁、床材や家具づくりで地域の再興をしている人など、興味深い人間像を紹介してくれているので楽しくなってくる。

◆8位

ホンダとサムスン.JPG

著者はホンダで最初は車体腐蝕の研究をしていたが、途中からリチウムイオン電池の研究に取組み、チーフエンジニアとして活躍していた。 しかし、ホンダではリチウムイオン電池を本命視しない派が次第に会社を牛耳るようになってきて、筆者はホンダを追出された。 2004年にサムスンに常務として拾われた。
現代自動車ではなく、サムスンだったのが日本にとっては救い。 
本命の自動車では、今でも日本は世界のトップを走っているらしい。 しかし、数年前までは民生用の電動工具などのリチウムイオンの技術では日本が世界のトップを走っていた。 だが、現在では完全にサムスンの後塵を拝しているという。 ホンダは、余計なことをしてくれた。
筆者は2012年でサムスンを退社しているが、ホンダとサムスンという日韓のトップ企業で、経営者として働いた氏の経験は貴重。
「部下の声を聞かないホンダ。 もっと聞かないサムスン」 「責任の取り方があいまいなホンダ。 峻烈なサムスン」 「殿様商売の日本。 きめ細かい韓国」 「スピード感のない日本。 せっかちな韓国」 「基礎研究に厚みを持つ日本。 ノーベル賞受賞者がいない韓国」 「特許マネージメントが拙い日本。 抜け目のない韓国」‥‥こうした比較が延々と続く。

◆7位

ミッション.JPG

小説部門ではトップ10候補が、古いものを含めると15点にも‥‥。 
その中で、産経新聞に連載されていて、今年の6月に出版されたこの著と、7月に出版された「猟師の肉は腐らない」 の2冊だけを選らばせてもらった。
後者については異論がないと思う。 だが、前者は誰もが小泉進次郎と想像できる若手の国会議員が主人公の政治小説。 それだけに、異論も多いはず。 
ブログの書評欄を2〜3読んで見たが、まともに取上げているものが少ない。 そして、どうせ取上げるのなら、もう少し変わった視点とか、掘下げた視点が欲しかったとの注文ばかり‥‥。
当然の注文だと思う。 
高齢化で過疎化した地方都市と、少子化問題。 この問題には、納得できるで結論を用意している政党もなければ、これはという特別な知恵があるわけでもない。 女性の社会復帰問題をとってみても、そのことでことで安倍首相の揚げ足はとることができても、誰一人として満足な解決案を用意できないでいる。 お互いに無いものねだりしてもしょうがない。
そういった意味で、敢えて政治を取上げたこの著書には、「それなりに価値がある」 というのが私の見解。

◆6位

農業論.JPG

この難解そうな理論は、10月24日付の週評で取上げている。
ともかく義務感のようなものがあって、1300円を払ってこの本を購入したが、さっぱり読む気が起きない。 1ヶ月も過ぎて読む本が無くなったので開いたら、グングン惹き込まれてしまった力作。
農林省は、農業にやたらに国税を注込んでいるのをカモフラージュすために、「カロリーベースの食料自給率は40%を切っている」 と騒ぎ立てている。
2012年の農産物の国別生産額のランキングをみると、たしかに中国、インド、アメリカ、インドネシア、ブラジルが上位を占めている。 そして、驚くなかれ日本は堂々の7位で、12位のフランス、16位のイタリア、18位のオーストラリア、24位のカナダなどを大きく上回っている。 
国民1人当りの生産額でみても、日本は7〜8位をキープ。
そして、2010年の農産物の総輸入額や1人当りの輸入額を見ても、ドイツやフランスに比べて日本が飛びぬけて大きい訳ではない。 農林省の恣意的な催眠術に、国民は完全に騙されている‥‥。
たしかに、コメの輸出額は減ってきている。 
それは、ジャポニカ米という特殊なコメを日本ではつくっているから‥‥。 ジャポニカ米のおいしさを分かってもらうためには、炊飯器という炊き方のノウハウと一緒に輸出すべきだと論じているのには、感動させられた。 必読の書。

◆5位

スーパー銀行.JPG

この著は、ベールに包まれていてその実態が知らされていなかった 「中国国家開発銀行」 の全貌を、アメリカ・メディア北京特派員の2人が、綿密な調査をもとに明らかにした内幕物。
この中国開銀の貸出残高は108兆円。 世界で4位の三菱UFJ銀は84兆円でしかない。 
開発銀行で比較すると、世銀が15兆円、日本政策銀は14兆円、国際協力銀は10兆円。 桁違いの融資額を誇り、中南米やアフリカで資源を確保しつつ公害をまき散らしている元凶が中国開銀。
ともかく、私などは中国のソーラーパネルの乱立が気がかりで、経済を大きく失速させるものとして懸念していた。 ところが、ソーラーパネルへの膨大な投資を平然と支え続けており、赤字なぞは問題にしていない事実を知らされて、腰を抜かすほどびっくりさせられた。 中国開銀を抜きにして中国経済は語れない。
中国の資本主義化は急激な都市化を進めて、農村人口を流動化させ、新規に3億人もの労働者階級をつくりだした。 世界史の上で、このような短期間に労働者階級を生みだした例は皆無。それほど中国の国家資本主義化は急速。 それが、環境負荷として全人民に及んできている。 
日本のメディアは、習近平氏の動向を追うことに全力を投入しているが、陳元開銀総裁の動向に、もっと関心をもって取材して頂きたい。

◆4位

自然をまねる.JPG

これは10月31日付でに週評に掲載されている。
貴方は、「バイオミミクリ―」 という言葉を聞いたことがありますか?
「バイオ」 とは生物のことで、「ミミクリ―」 と言うのは 《真似る》 という意味。 つまり生物の真似をして、新しい物造りを行うこと。
産業革命以来、そこいらにある廉価な石炭などを燃やして物を作れば良かった。 しかし、世界で都市化が進み、大気や水が汚染され、土地が痩せてきて公衆衛生面でリスクが大きくなった。
同時に地球の温暖化で、集中豪雨にや台風、土砂災害の危険も増えてきた。
これに対して、自然は全く異なる原則で機能している。 最小限のエネルギーで、生態系を損なわずに生き残り、再生を続けている。
人間の心臓と血管系を考えて頂きたい。 毛細血管まで入れると全長は9600キロメートルにも及ぶという。 東京―大阪間よりもはるかに長い。 それなのに、血を末端まで送るのに、1.5ワットの常夜灯のエネルギーしか消化していない。 自然は如何に合理的であるか!
新幹線はトンネルへ入る時にドカーンという大きな音がする。 それを防ぐためにカワセミの嘴を真似て車体を作り、フクロウの羽根をヒントに騒音がしないパンダグラフを開発した。
そういった、自然を真似た開発例でこの本は埋められている。 ともかく、私どもの常識に対する挑戦状として、最後まで息を継ぐ寸暇も与えてくれない好著。

◆3位

猟師の肉.JPG

これは9月5日付の週評で取上げている。
お馴染みの小泉節。 顔が広い筆者は、いろんなところに仲間がいる。 今回の主人公は都会生活に愛想を尽かした義っしゃんが、福島・茨城・栃木にまたがる八溝山の山小屋へ引越した。
もちろん電気もなければ水道もない。 そして、熊のような大きな犬と1人と1匹で、父親ゆずりの猟師暮らしを始めた。
今まで以上に猟師の知恵や生活ぶりが丁寧に描かれており、実話として読み終えた感想は非常に満足すべきものだった。 そして、念のためにとネットで調べたら、実話ではなく 「小説」 に分類されていることを知って慌てた。 そういえば、確かに最後のシーンはいままでのものとは違い、わざとらしさがあった。 しかし、それ以外は、今まで通りの小泉節で安心出来た。
義っしゃんから電話があって2ヶ月も過ぎたころ、先生はむやみに猟師生活がしたくなった。 そこで粕取焼酎の1升ビン2本とクサヤ3枚をリックに入れ、タクシーを降りてから2時間も山道を歩き、やっと20坪程度の平屋の山小屋へ辿りついた。 1泊2日の予定だった。
初日は猪の燻製肉の薄切りと、野菜とイワナを味噌でのごった煮。 それと持参のクサヤで粕取焼酎をあおった。 
2日目はイワナとヤマメ釣り。 釣上げた魚は水音焼きで昼飯。 そのあと罠にかかっていた2匹の野兎を、灰燻の珍方法で土産に加工してくれた。 その生活の面白さで結局は3泊4日の旅に。
3日目は木の幹を叩くと脳震とうを起こした蝉が50匹ほど簡単にとれる。 それを夜の串焼きに。
また、赤蛙をエサに地蜂の巣を探し、巣を掘って地蜂飯に。 これが格別。
4日目はドジョウ獲り。 
これで味をしめた先生は、2年後の冬に義っしゃんを訪ねて、さらに新しい猟師の技法を体験する。 こんなに面白い小説はまたとない。

◆2位

女と男.JPG

この本は11月5日のこの欄で紹介している。 詳細はそれを参照して頂きたい。
何しろ、5年前の2009年1月に、NHKがスペシャルシリーズとして3回にわけて放送したもの。 残念ながら、私はその放送を見逃した。
「男と女」 の痴話は腐るほど聞かされてきた。「もういい加減にしてほしい」 というのが偽りのないところ。
ところが、題名は 「男と女」 ではなくて、「女と男」。 女が前面に出ている。 そして、サブタイトルが 「最新科学が解き明かす 『性』 の謎」。
最新科学といっても、「どうせ 『性』 に関しては新しい発見などはあり得ない」 と言う風に私は考えていた。 ところが、NHKのスタッフは、毎週アメリカの大学に通って、今までは考えられもしなかった理論と事実を報告している。 
つまり、新しいテーマーで研究している学者を、NHKのスタッフは徹底的に調べ上げていたということ。 だから面白い。 放送されてから5年目に文庫本化されたというには、それなりの理由があるということ。
中でも私がビックリしたのは、フィンランドの男性の生殖能力が急速に劣化しているという事実。 この研究が進んで、「近い将来に男性の30%が、結婚出来なくなる惧れがる」 という。しかも、500〜600万年後には、Y染色体が滅亡し、「男なしの世界が現出するかもしれない」 と言うのだ。 私だけでなく、貴方も知らなかったことが、陸続と続く。
文庫本だから629円+税と安い。 5年前にテレビを見過ごした方は、是非今度の正月休みに読んで頂きたい。

1位

地震本写真.JPG

これは、ごく最近の12月10日付のこの欄で紹介したので、覚えておられる方も多かろう。
今年の下半期には、地震関係の本だけで5冊も読んでいる。 ともかく 「地震」 と名がつくと片っぱしから読まずにはおれない中毒患者になってきている。
これだけ読んでいると、新しい事実にほとんど巡り会えない。
この本も、題名だけだと非常に陳腐。 どこを探しても新発見はなさそう。
ご案内のように、日本は@ユーラシアプレート、A北米プレート、B太平洋プレート、Cフィリピン海プレートの4つのプレートが沈み込んでおり、世界で最も地震の多発国として有名。
これに対して、アメリカはロスを中心としたカリフォルニア州とアラスカ州の西海岸以外は、地震には無縁と言われていた。 つまり、アメリカ大陸の中央部や東海岸には地震の心配が皆無だと信じられていた。
ところがこの著によると、今まで地震がなかった中部のオクラホマ州、アーカンソー州、コロラド州、ニューメキシコ州のほかに、南部のテキサス州においても震度3〜4の地震が頻発しているという。
とくにオクラホマ州では、2014年は地震が多発していて、6月19日の時点で207回も記録して、カリフォルニア州の140回を数では上回ったと言う。
この原因は水圧破砕法によって取出されるようになったシェルガスにあると筆者は断言。 確かに水圧で頁岩層を破砕する方法は、どう考えても無害というわけにはゆかない。 そして、この現象はシェルガスを産出しない日本では無縁であるように考えている向きもあるが、そうとは言えないと筆者は忠告している。
2004年に、地震と縁がないと考えられていた中越地震が起こり、2007年には中越沖地震が発生している。 いずれもマグネチュード6.8という大地震。 この原因は今まで謎とされていた。 
しかし、筆者は両方の地震の中心地から20キロの南長岡ガス田で、高圧水を注入してガスを入手していたし、ガスが取れなくなった跡地で経産省の環境産業技研が、地下1100メートルに、合計1万トン以上のCO2を圧入する実験を行っていた。 それが、中越並びに中越沖地震の原因ではないかと問題提起している。
そして、阪神淡路地震も、もしかしたら明石海峡の海の中に造られた橋脚工事で、海水を地面の奥深くまで浸透させたことが原因だったかもしれないと、問題提起。
いずれにせよ、地中にCO2を圧入すればCO2問題は解決すると言う考えは甘く、再検討を余儀なくされよう。 そういった大問題を提起しているという点で、この著は必見の価値がある。


posted by uno2013 at 08:46| Comment(0) | 半年間の面白本ベスト10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月25日

2014年下半期  読んで面白かった本のベスト10 (上)



恒例の、独善的面白本のベスト10。
毎回同じことを書くが、日に200冊も出版される本を、一人で選択しょうとすることが、そもそもムリな話。
下期は少し乱読気味。 読んだ本は467冊と日に2.56冊というハイペース。 これは明らかに読み過ぎだが、3日分の出版数以下。

その中で、レベルに達していると私が感じた本だけを紹介しているが、これがなんと119冊にもなった。 中で、ベスト10候補に上げられるものには■印をつけているが、この数だけでも59点にも‥‥。 
少し判定が甘かったようだが、なかなかの力作揃いではあった。
△印は、1年以上に前に出版されたもの。 ただし、文庫本では今年の出版であっても、単行本としては3年以上も前に出版されたものが多いので、文庫と断ってある本には要注意。

この下期で、もっともレベルに達していると唸らさせられたのが 「経営・経済・政治」 の31冊で、■印のついたベスト10候補の作品だけでも15冊と、一番多かった。 しかも多彩で、飽きることがなかった。 

2番目に多かったのは 「小説」 の22冊。 私の好きな企業小説以外で面白いものが多かった。しかも■印のベスト10候補作は、これまた15点と多かった。 普段あまり小説を読まない方だが、他の分野で面白い本がないと、つい古い小説を漁ってしまう。 その結果、小説が思った以上に頑張ったように見えるだけなのだが‥‥。

次いで多かったのは 「環境・農林水産・食品・医療」 の20冊で、■印は9冊。 環境や省エネ関係は一巡したので、これはという本は少なくなった。 その中で、農業と林業ではなかなか読ませるものが多かった。

次いで多かったのは 「科学・教育・技術」 の17冊で、■印が9冊。 それと、いつもビリだった 「住宅・建築」 が、今回は17冊と大健闘。 そして、■印は6冊にも。 住宅に関しては毎回本屋の新刊コーナーを探しているのだが、これはという画期的なものに出会えない。 

「ノンフェクション・旅行」 が12冊と少ないが、■印は5冊となかなかの健闘。 司馬遼太郎の40冊近くに及ぶ、古い紀行記 「街道をゆく」 はあと少しで完読だが、これは2015年の上期に回しすことにした。


【環境・農業・食品・医療】 20冊
・地域からの農業再興                    蔦谷栄一  創森社
■林業男子  いまの森、100年先の森       山ア真由子  山と渓谷社
・地域振興に活かす自然エネルギー         田端 保  筑波書房
■ニッポンの里山                       NHK里山制作班  NHK出版
■森ではたらく!  27人の27の仕事        古川大輔、山ア亮  学芸出版   
・海のいのちを守る                       渋谷正信  春秋社
■選ぶならこっち! 食べて安心な食品の見分け方  垣田達哉  WAVE出版
・日本の森100                   日本インストラ―協会  山と渓谷社
■自然エネルギー革命                      大下英治  潮出版
・発達障害グレーゾーン                   アンダンテ  ダイヤモンド
・汚染水との闘い                        空本誠喜  ちくま新書
・ドイツ市民エネルギー企業                村上敦也ほか  学芸出版社 
■自然をまねる、世界が変わる               ジェイ・ハーマン  化学同人
■首都水没                            土屋信行  文春新書
■希望の日本農業論                         大泉一貫  NHK出版
■中国汚染の真相                          富坂 聰 KADOKWA
・SNSで農業革命                         蓮見よしあき 碩学舎
・新・日本のワイン                       山本 博  早川書房
・大豆と日本人と健康                     渡辺 昌監修  華書房
・緑のダムの科学                       蔵治光一郎ほか 築地書館


【科学・技術・教育】 17冊
・ミッション・トウ・マーズ(火星移住大作戦)移住  ハズ・オルドリン  エクスナレッジ
■ジパングの海  資源大国ニッポンへの道        横瀬久芳  講談α新書
■3Dプリンタの本                     佐野義華ほか 日刊工業新聞
・生きものが見える私たち                中村桂子、和田誠  青土社
■生命の未来を変えた男  山中伸弥          NHKスペシャル取材班  文春文庫
■脳に棲む悪魔                     スザンナ・キャハラン KADOKAWA
■宇宙エレベーターの本                宇宙エレベーター協会 アスペクド
・ニュートリノと私                      小柴昌俊  PHP研
・絵でわかるプレートテクト二クス            是永 淳  講談社
■アイデアが枯れない頭のつくり方           高橋晋平 阪急コミュニケーション
■新幹線を航空機に変えた男たち              前間孝則  さくら舎
・古  墳                          大塚初重監修 実業之日本
■深海8000mに挑んだ町工場                 山岡淳一郎  かんき出版
・魚で始まる世界史                越智敏之  光文社新書
・こんなに凄かった伝説の「あの日」の天気        金子大輔  自由国民社
・梅干と日本刀                          樋口清之 詳伝社新書
■△女と男                           NHKスペシャル 角川文庫


【経済・経営・政治】 31冊
・領域を超える経営学                    琴坂将広  ダイヤモンド
■国家とエネルギー戦争                  渡部昇一  詳伝社新書
■スティーブ・ジョブズがデザインしていた未来  川北 蒼  総合法令出版    
・どの面下げての韓国人                  豊田有恒  詳伝社新書
■人材を育てるホンダ、競わせるサムスン      佐藤 登  日経BP社
・日本でいちばん大切にしたい会社            坂本光司  あさ出版 
■チャイナーズ・スーパーバンク           ヘンリー・サンダースほか  原書房
・日中「再逆転」                          近藤大介  講談社
・世界が驚くニッポンの医療産業力             泉谷 渉  東洋経済新社
・三陸鉄道  情熱復活物語                  品川雅彦  三省堂
■ロシア利権闘争の闇  迷走するプーチン政権   江頭 寛  草思社
・仮想通貨革命                        野口悠紀雄 ダイヤモンド
■エネルギー革命が日本を救う                 中島 洋  日経BP社
■世界文化遺産・富岡製糸場と明治のニッポン     熊谷充晃  WEV出版
・クールジャパンはなぜ嫌われるか               三原龍太郎  中公新書
・なぜ中国には1%も未来がないのか             石  平  徳間書店
・NPOで起業する!                        跡田直澄 実業之日本
■ペリー提督日本遠征記 (上)(下)            ホークス編纂 角川ソフィア文庫
■靖国神社                            島田裕巳 幻冬舎新書
・トヨタ式リーダー育成法                   三澤一文  日経出版
■経済学をまる裸にする                チャールズ・ウィーラン 日経出版
■インテリジェンス 1941                   山ア啓明  NHK出版
■未来を語る                           アル・ゴア KADOKAWA
・石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?           岩瀬 昇  文春新書
・日高屋だから「ひと」が学べた                松茂良宏  知道出版
・1冊でわかる! アフリカ経済               ワールドエコノミー研 PHP研
・お客さんの笑顔が僕のすべて                  松下信幸 ダイアモンド
■日本はこう激変する                     長谷川慶太郎  徳間書店
△イタリア人と日本人、どっちがバカ?      ファブリツィオ・グラッセリー 文春新書
■△パンとペン 堺利彦と「売文社」の闘い       黒岩比佐子  講談社
■△円を創った男  小説・大隈重信             渡辺房男  文芸春秋


【小説】 22冊
・さいごの毛布                          近藤史恵  角川書店
■ミッション建国                        楡 周平 産経新聞出版
・北海道 アンダーリング                小路幸也  角川書店
・バック しまっていこうぜ!            山口 健  合同フォレスト
■ノボさん 小説・正岡子規と夏目漱石    伊集院静  講談社
■猟師の肉は腐らない                    小泉武夫  新潮社
■獅子のごとく                          黒木 亮  講談社 
■マッサン                             羽原大介  NHK出版
■首都崩壊                             高嶋哲夫  幻冬舎
△人生教授所                           垣根涼介  中央公論
△経済小説名作選                       城山三郎選  ちくま文庫
△辞令 自宅待機を命ず                 野村正樹  PHP研
△告発の虚搭                           江上 剛  幻冬舎
■△空き家課 まぼろし譚               ほしおさなえ  講談社
■△神去なあなあ日常                   三浦しおん  徳間書店
■△介護退職                           楡 周平  詳伝社
■△トッカンvs勤労商工会               高殿 円  早川書房
■△プライド                           真山 仁  新潮社
■△植物図鑑                           有川 浩  角川書店
■△トイレのポツポツ                   原 宏一  集英社
■△鉄の骨                            池井戸潤  講談社
■△起業の砦                          江波戸哲夫  講談社  

【ノンフェクション・旅行】 12冊
■知の巨人 萩生徂徠伝                     佐藤雅美  角川書店
・「ひきこもり」救出マニュアル             斉藤 環  ちくま文庫   
■不思議フランス  誘惑の謎               藤野敦子  春風社
■死体捜査犬が見た驚くべき世界            カット・ワレン  エクスナレッジ
・フットパスによるまちづくり               神谷由紀子  水曜社
・アジアの星物語                      アジアの星編集委員会 万葉社
・ストーカーは何を考えているのか           小早川明子  新潮新書
・ポケットに物語を入れて                   角田光代  小学館
・雑談の達人                            内藤誼人 大和書房
△仕事の流儀                            高任和夫  日経BP
■△隠れ念仏と隠し念仏                     五十寛之  ちくま文庫
■△雲の上で暮らす  アンデスの高地民族の世界   山本紀夫  ナカニシヤ出版


【住宅・建築】 17冊
・鳶 (とび)                            多湖弘明  洋泉社
・住宅1年生のローンの教科書           竹下さくら  エクスナレッジ
・空調設備の基本と仕組み               菊池 至  秀和システム
・構造デザインマップ 東京             編集委員会  総合資格学院
■涼温な家  エアコンの風が嫌いな人に   松井修二  三省堂
・建設業の法務と労務実践マニュアル       林 智之  三修社          
■「空き家」が蝕む日本                   長嶋 修  ポプラ新書  
■人材危機  建設業から沈む日本         日経アーキテクチュアほか  日経BP
・築土構木の思想                        藤井聰ほか  晶文社
・世界のおもしろい家                          エクスナレッジ
■建築する動物               インゴ・アルント  スペーシワネットワーク
・大地震  古記録に学ぶ                   宇佐美龍夫  吉川弘文館
・関東大震災の想像力              ジェニファー・ワイゼンフェルド 青土社
・日本の地震地図                        岡田義光  東京書籍
・「らしい」建築批判                    飯島洋一  青土社
■日本の地価が3分の1になる            三浦 展  光文社新書
■油断大敵! 生死を分ける地震の基礎知識60  島村英紀  花伝社


posted by uno2013 at 08:07| Comment(0) | 半年間の面白本ベスト10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月20日

Q値が北海道0.8W、内地1.0W以上の住宅2棟の実績ある企業



消費者から、「unoさんのホームページの表紙には、《Q値は0.8〜1.0W、絶対湿度は8〜10c》 と明示してある。 絶対湿度の8〜10cは無理としても、北海道はQ値0.8W、内地は1.0W以上の住宅を2棟以上提供した実績のある業者を厳選してリンク先に掲載して欲しい。 でないと、消費者は間違えて選択してしまう惧れが高い‥‥」 という切実なメールをいただきました。

そのことで、何人かの仲間に相談したところ、「消費者の意見は正直で、正しい。 一条工務店の性能に対抗してゆくには、北海道のQ値は0.8W、内地の1.0Wば絶対不可欠と言える最低条件。 いまどき、R-2000住宅の基準を振り回しているようでは、意識の高い消費者からはハナもひっかけてはもらえない。 正月からリンク先を、思い切って絞るべきだ‥‥」 とのサジェスチョンを貰いました。
このサジェスチョンに基づき、私なりに地場ビルダーの実態を調査したところ、北海道でQ値が0.8W以上の住宅を 2棟以上提供した実績のある地場ビルダーは、札幌を中心に10社余しかありません。 まして、内地でQ値が1.0W以上の住宅を 2棟以上提供した実績を持つ地場ビルダーとなると、これまた数社余に限定されるという実態が浮上。

それにしても、札幌はこの2〜3年で様相を一変させてきている。
何と言っても、札幌市がトップランナー方式を採用し、補助金制度で後押したことが 地場企業に大きなインセンティブを与えている。
札幌の5段階の性能レベルについては、今まで数回に亘って紹介しているが、改めてそのQ値とC
値を紹介すると、下記の通り。
◆トップランナー (Q値0.5W、C値0.5a)  ◆ハイレベル (Q値0.7W、C値0.7a)
◆スタンダード (Q値1.0W、C値1.0a)   ◆ベーシック (Q値1.3W、C値1.0a)
◆ミニマム (Q値1.6W、C値2.0a)
この5ランク目の ◆ミニマムというのは、北海道における高気密住宅の最低性能基準。 内地の2.7Wというのに比べると1.6Wというのは厳しいようだが、ヨーロッパに比べると大甘の基準。
4ランク目の ◆ベーシックの1.3Wは、R-2000住宅と同等。 この程度の性能で、いまだに商売をしている会社が多いというのが実態。
そして、数年前より新住協が唱え出した「Q1.0 (キュー・ワン) 住宅」。 
これが、札幌の基準では、「とおり一遍のスタンダードに過ぎない」 と言い切っているところが、なんとも憎い。
その上に、Q値が0.7Wの◆ハイレベルがあり、さらには、◆Q値が0.5Wの、究極と言えるトップランナーがある。

制度を創るのは比較的簡単。
要は、この厳しい制度をとれだけ地場ビルダーが消化し、武器として活用しているかである。
札幌市の民間側の受け皿として活躍しているのが、私のホームページのリンク先にある北海道無暖冷房住研。 北大・藷熕謳カ、道科大・福島先生をはじめ、熊谷氏、タギ氏など多彩なコンサルタントを持ち、21社の正会員から成っている。
この中で、今年0.7Wのハイレベル以上を34棟をこなした道東ハウス、同じく31棟をこなした大洋ハウスを筆頭に、2棟以上こなしたビルダーの数が、7社にも上る。 
上位の10社の数字だけをみても、トップランナーが14棟、ハイレベル63棟、スタンダードに至っては180棟にも及ぶ。 もちろん、全てが補助金を受けているわけではない。 
補助金なしでも、それなりに受注している。
この道無暖冷房住研だけで、Q値1.0W以上の住宅の受注数が 300棟近くに及ぼうとしている事実に注目したい。
すなわち、今年の実績数を見ると、R-2000住宅やキュー・ワン住宅の北海道における実績を完全に凌駕していることに気がつく。
つまり、スタンダードというQ-1 (キュー・ワン) 住宅を 数十棟単位で消化している地場ビルダーが、数社もあるということ。 このことの意義は非常に大きい。

私が常に強調していることは、「地場ビルダーが高気密住宅の専門業者化しない限り、地場に高気密住宅が普及することは絶対にあり得ない」 ということ。
たしかに、パッシブハウスという一般社団法人には多くの設計士が参加している。
そのことは非常に良いことで、何一つ否定する必要はない。 しかし、設計士が仕事の依頼を受ける範囲は広く、特定の地場に縛られているわけではない。 
伊東豊雄氏や隈研吾氏などに代表される有名な設計事務所は、世界を股にかけて活躍している。
設計事務所というのは、エリアには拘束されない存在。 つまり、所長一人が出張し、受注をとることが可能な商売。
これに対して工事を担当する地場ビルダーは、大工さんをはじめ一切の下職を簡単に移動させることは出来ない。 一定の範囲内で、厳しい基準をクリアーするには、1棟や2棟程度の経験だけでは完全に体得させることは不可能。 
仕事に慣れると言うことは、全ての職人が同じ考えで動くということ。 徹底的にシステムを理解し、身体が自然に動かねばならない。 それには、地場ビルダーが専門化して、一定性能の需要をコンスタントに確保しなければならない。
道無暖冷房住研のメンバーの数社が、Q-1 (キュー・ワン) 以上の仕事を、数十棟単位でコンスタントな受注力を確保してきているということ。 そのことの意義を私は称えたい。 
こうした地場ビルダーの育成の重要さを、パッシブハウスなどでも学んで欲しい。 
でないと、いくら笛を吹いても誰も踊り出せない。 
消費者は、安くて安心出来る発注先を、いつまでも見つけ出せない状態が続く‥‥。

さて、札幌の無暖冷房住研の動きを見ていたので、全国的にもこれに近い動きがあるのではないかと考えていた。 
しかし、私の判断は、甘かった。
北海道でも、人口の集中が進み、市が中心になって新しい産業を育成しようと補助金まで用意しているのは札幌市だけ。 他の地域では過疎化が進み、予算のない市は補助金事業などは考えられないほどに疲弊。
Q値が1.6Wの省エネ基準を順守しておれば良い方で、206どころか204の充填断熱が未だに幅を効かせているという。 坪単価は、60万円どころか、50万円を割るローコスト住宅が未だにのさばっているとも聞いた。
これは、内地も一緒で、円安で建築資材が高騰しているのに、建築単価は低く抑えられている。
その一方で、鉄骨プレハブやミサワホームなどの性能の悪い住宅が、厚化粧をして高額所得者をたぶらかそうと悪知恵を働かせている。 その動きを支援しょうとしている国交省に経産省。
しかし、ここでも幅を効かせているのがローコスト。 ただし、今までの勢力外で、新しい動きが一部に見られる。

日本には、850万戸もの空き家が存在する。
空き家が多くなったということは、全ての人がまともな家に住めるようになったということで、大変喜ばしいこと。 だが、日本の6,150万戸の既存住宅の質は、相当低いと考えてよい。
6,150万戸のうち、ペアサッシを採用している住宅は1/6の1,100万戸にも満たない。 いまだに寒いアルミサッシの家に住み、冬期は毎朝結露掃除に悩まされている。
そして25年も経つと、一律に建築物の不動産価格を ゼロと評価してしまう日本の不動産屋。 こんな不動産屋は、絶対に信頼できない。
国交省が、プレハブメーカーや全建総連の工務店や大工さんの都合だけを考えて、Q値が2.7Wという惨めな住宅を消費者に押し付けている。
「少なくとも、Q値が1.0W以上の高性能で、暖かくて、毎朝サッシの結露掃除をしなくても良い住宅しか 新設住宅としては認めない」 という毅然たる態度を、国交省が率先して取るべき時期に到達している。

一方で、いままでの地震や火山活動以外で、集中豪雨による土砂災害の被害が急増している。
日本は70%が山林。 そして人口増で、河川氾濫区域に半分の人口が棲んできた。
これから人口の減少が続いてゆく。 ということは、土砂災害の怖れのある地域から、既存の住宅を強制的に移動させるべき。 日本では、やたらに地主の権利というか、わがままを大目で黙認してきた。 その結果が、地震や土砂災害による被害者の増大になってきている。
これを根絶すべき。 
その詳細については、新年のこの欄で述べたい。


さて、消費者から強い要望があった 「北海道はQ値が0.8W以上、内地はQ値が1.0W以上の住宅を、2棟以上建てた業者だけをリンクしていただきたい」 というご希望は、先に述べたように北海道では10社余、内地では5社余という淋しいリンク先になってしまう。
2年後には、絶対にそのようにしたいと思う。 
しかし、今それを強行すると、やっと育ってきた多くのツーバイフォー業者を追い出すことにもなってしまう。
このため、明らかに業務を停止している業者と、一部大手メーカーだけを省き、この数年来ホームページを更新していない業者を含めて温存することにした。 
そして、新規に馬力のある10社余を選んで、新年から追加します。
消費者の方は、そういった事情を賢察の上、発注先を選んで頂きたいとお願いします。


posted by uno2013 at 08:05| Comment(0) | 産業・経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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